ポスト・コロナ社会への緊急提言及び行動宣言

投稿日 2020年8月20日

本日設立した「持続可能な地域創造ネットワーク」は、持続可能な社会を地域から実現するために、自治体、NGO/NPO、教育研究機関、次世代がパートナーシップを深め、互いをエンパワーメントするネットワーク組織です。

この提言及び行動宣言は、新型コロナウイルス感染症の収束及び収束後(ポスト・コロナ)に向けて、持続可能な社会を構築するための当団体の指針とするとともに、全国の自治体、国及び社会に対して、今後取り組むべきこととその方向性を示し、呼び掛けるものです。

1.経済活動の再開にあたっては、気候変動問題や社会的弱者支援等の社会課題を同時解決する取組を優先すること

過去、経済危機後の景気刺激策は、温室効果ガス排出量の増加につながるものが多く見られました。また、新型コロナウイルス感染症の拡大は、非正規を中心とする労働者の解雇・雇い止めの増加や介護難民の発生、子どもや女性の相談窓口や居場所の休業等、社会的弱者にしわ寄せが行っています。

今般、緊急事態宣言の解除により、経済活動が段階的に再開されつつあり、雇用や生活の維持・創出に向けて、様々な財政支出の検討が進められているところですが、その実施にあたっては、SDGsで明記されているように気候変動問題の解決や社会的弱者の支援等の社会課題を同時解決する取組を優先して行うべきと考えます。

【この提言を実現するための、当団体の行動宣言】

・地域経済の再生を行う際は、社会的弱者に配慮した仕組みを前提とし、再生可能エネルギー拡大や自然資本の回復に関わる雇用を拡大する等、気候変動問題や社会問題の同時解決を図ります。

・経済・環境・社会を同時解決する取組として、「SDGs商店街」や「SDGsツーリズム」等のプロジェクトを実施します。

2.持続可能な社会とコロナ共存型社会を両立させる働き方や生活様式、教育システムの定着を図ること

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、これまでは一部にとどまっていたテレワークや時差通勤、オンラインを活用した会議や授業等、移動に伴う環境負荷の低減にもつながる働き方や生活様式、教育システムの導入が進んでいます。一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大は、使い捨て製品や容器包装、インターネット需要の高まり等の環境負荷を増大する要因ともなっています。

環境負荷の低減と両立させる働き方や生活様式、教育システムは、基盤整備や仕組みの制度化を図ることで、そのさらなる普及や社会への定着を図るべきと考えます。また、廃棄物の発生等、環境負荷の増大が見込まれる分野はそれを最小限に抑制し適切にコントロールするべきと考えます。

【この提言を実現するための、当団体の行動宣言】

・環境や人に優しい生活様式を普及・定着させる好機と捉え、各地の特色を活かした、多様でより良い働き方や学びの場や機会の創出に努めます。

・新たな地域経済・教育システムを確立するための「ESD推進による地域創生拠点形成」「地域分散型小規模低学費大学」「ユース主体のSDGs実践」等のプロジェクトを、自治体と若い世代、教育機関との連携を強めながら実施します。

・大学等の教育研究機関やNGO/NPOは、「自治体の持続可能性評価指標づくり」プロジェクト等を通じ、持続可能性からみた取組の評価や環境影響に関する科学的・客観的な情報を整理し、社会に発信します。

3.気候変動や生物多様性喪失を防止し、感染症拡大を招かない、レジリエントなまちや社会の仕組みを築くこと

新型コロナウイルス感染症の拡大は、現在の都市、特に人口が集中した大都市の脆弱性(密集リスク等)を明らかにしました。また、気候変動や生物多様性の喪失は、未知のウイルスやその媒介生物と人との距離を縮め、それらとの遭遇リスクや蔓延リスクを高めます。

ポスト・コロナ社会においては、土地利用や都市計画及びそこに付随するインフラや住環境、交通、エネルギーシステム、人と自然との関係性、都市と地域の関係性や大都市圏への集中等を根本的に見直すことが必要です。いわゆる「地域循環共生圏」等の、人や物、資源、エネルギーを地域内で回す、レジリエントな(回復力のある)まちや社会の仕組みを築き、新たな感染症拡大と気候変動や生物多様性喪失をともに防ぐべきと考えます。

【この提言を実現するための、当団体の行動宣言】

・自治体の総合計画や各種マスタープラン、地域版SDGs等の策定を通じ、会員が相互に連携しながら、適切な土地利用の下でのレジリエントな地域社会づくりを進めます。この際、NGO/NPO は策定の場への参加や市民の参画巻き込み、会議のコーディネート等を行い、教育研究機関は地域の現状や将来見通し等を分析し必要な情報を提供します。

・自治体が計画を策定する際には、「ゼロカーボン地域づくり」や「気候変動適応地域」等のプロジェクトの成果を反映し、新たな感染症拡大、気候変動、生物多様性喪失をともに招かない、地域特性に適った新しいまちや社会の仕組みを提案します。

 

2020年6月26日

持続可能な地域創造ネットワーク