投稿日2016年3月30日 市民本位の総合計画の策定と、市民と行政の協働による評価、改善のための仕組み

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概要

目的

  • まちづくりのビジョンを定める総合計画に市民のニーズを反映させる。
  • 総合計画を策定するだけにとどめず、着実に改善状況がわかるようにモニタリングし、次の事業立案につなげる。
  • 自治体との対等に活動できる市民を育成する。

実施概要

  • 総合計画策定に市民の意見を最大限反映させる。
  • 市民参画で策定した総合計画の進捗評価を住民が独自の視点で行い、行政に対して結果を発表する。
  • 住民が評価結果をもとに事業の提案を行い、行政がその受入可否について公開の場で回答を行う。

    期待効果

    その他、特徴的な効果

    総合計画の評価を、行政の観点からだけでなく、市民の視点を入れ込んだ指標を設定することで、行政の自画自賛ではない客観的な評価が可能となる。

実施内容とポイント

全体を通じたポイント・考え方

総合計画の評価を通じたまちづくりの協働推進

ステップ1総合計画策定準備段階

ステップ1-1 市民参画推進委員会の設置

実施内容
  • 市民参画推進委員会を設置する。
  • 公募委員、各種団体からの推薦委員、学識者で構成する。

ステップ1-2 理念グループの作成

実施内容
  • 住民がまちづくりにおいて重視している理念とそれを実現するために重要視している課題(以下、生活課題とする)を把握するため、40〜60代の委員、小学生、中学生、高校生、20代のグループへのインタビューを実施する。
  • 集まったデータを分類、構造化し、5〜7程度の理念グループに集約する。

ステップ1-3 アンケートの実施と理念グループの確定

実施内容 理念グループは一部住民の意見のため、16歳以上の住民を無作為に抽出し、アンケートを実施する。アンケートの結果を受けて、理念グループを確定させる。

ステップ1-3 生活課題の絞り込みと指標の設定

実施内容
  • 生活課題について、絞り込みをかける。概ね40課題に収める。
  • 各生活課題について、2つ以上の指標を設定する。
  • 各指標について現状値を確認し、5年後、10年後の目標値(以下、まちづくり指標とする)を設定する。

ステップ2総合計画策定段階

実施内容
  • 行政は推進委員会が設定した理念グループと指標を総合計画の骨格に置き、行政の観点からも不足を補うことで施策にまとめる。
  • 総合計画策定段階も推進委員会の活動経緯を尊重し、住民参画でまとめる。
ポイント・考え方 総合計画のビジョンは自治体だけの取り組みでは達成できず、民間の取り組みや協働により実現していくもののため、まちづくりに責任を担う主体として、個人、家庭、NPO、町内会、企業、農協、商工会等、学校、自治体、都道府県、国、その他主体を設定し、主体ごとに役割分担値を設定する。

ステップ3総合計画評価段階

ステップ3-1 総合計画評価委員会の設置

実施内容
  • 総合計画評価委員会を設置する。
  • メンバーは公募委員、各種団体からの推薦委員とする。公募委員の割合を2/3程度と多めにする。
ポイント・考え方
  • メンバー改選時にすべてを公募委員にするなどのアレンジは可能。
  • 評価委員会は独立した事務所とスタッフを雇用する。
  • 財源は自治体からの委託費などで工面する。
  • 事務所は駅前などの交通の便がよいところ、市民活動センターなどに置くとよい。

ステップ3-2 部会の設置

実施内容 評価委員会には5〜7程度の部会を設ける。
各部会は下記の任務を担う。

  1. まちづくり指標の現状値の把握
  2. 指標改善状況の評価
  3. 改善に効果的な事業の見直しや新規事業の提案
  4. 提案した事業が自治体の予算や実施計画にどう反映されたかの確認

各部会は、指標に基づきまちづくりの進捗状況を評価し、どのような事業を提案したらよいか徹底的に議論する。
これらは年間を通じて行う。
自治体は評価に必要なデータ提供をすすんで行う。
その他、評価や事業提案のために必要な情報は行政の担当部署と評価委員会委員による会議や随時の打ち合わせで提供する。

ステップ3-3 評価委員会の3つの大会

実施内容 評価委員会は年間に下記3つの大会を開催し部会が発表を行う。

  1. 評価の大会
  2. 毎年6〜7月、まちづくり指標の変化から生活課題の改善状況やまちづくりの進み具合を評価、発表するためのイベント。指標の推移から、改善しているか悪化しているかの評価や原因の分析を通じて今後の課題や方策などが書かれた評価書を作成、発表し、委員、自治体職員、住民が意見交換を行う。

  3. 提案の大会
  4. 毎年9〜10月、提案事業の内容や効果を記載した提案書を各部会が発表する。提案書には、経年的統計データを主な根拠とし、ロジックモデルを用いて提案事務事業、活動内容、直接の成果、短期成果、中期成果、長期成果、最終成果の関係を整理し発表する。
    ※大会で発表する提案書を作成する段階で、評価委員会と行政担当課との間で実現可能性について行政の考えや実現のための実務的な手法の有無などを非公式な形で事前協議し、十分情報の共有をしておく。このことにより仮に事業の実行が何らかの事情で困難になった場合、どのレベルまでなら実施可能かを調整することが可能になる。

  5. 確認の大会
  6. 毎年3月、提案の大会で発表された提案事業について行政から予算への反映など、その対応状況の確認を行う。

ポイント・考え方 各大会には自治体からは首長以下、各部長級職員がすべて出席する。

ステップ4報告書の作成と公表

実施内容 1年間の成果を報告書としてまとめ、広く情報発信する。

実施主体・協働・推奨される自治体

実施主体

住民・行政の協働組織、協議会、NPO、住民、事業者、外郭団体、行政

住民・行政参加度

総合
住民・事業者3:行政主体3
資金
行政主導
マンパワー
住民・事業者3:行政主体3

協働によりどのような相乗効果を期待できるか

総合計画の評価を、行政の観点からだけでなく、市民の視点を入れ込んだ指標を設定することで、行政の自画自賛ではない客観的な評価が可能となる。

推奨自治体の自然・社会的要件等

やる気があればどこでもできる

参考事例

自治体名東海市
事例名東海市まちづくり市民委員会
参考文献東海市まちづくり市民委員会(編集、作成、発行)『東海市 まちづくり市民委員会活動のまとめ』平成26年3月

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